もう10年以上は漫画を買って読むという体験をしていませんでしたが、最近「葬送のフリーレン」を買って読みました。Kindleで50%ポイント還元するキャンペーンがあったので全巻まとめて買った次第です。
「フリーレン」はアニメから入りました。アニメ自体あまり観ない方だったのですが、 動画配信サービスを契約 したのをきっかけに観るようになりました。SNSでも結構話題だったので(主にネットミーム的にですが)興味本位で見始め、これは二期を待ってられん! と全巻買うに至ったわけです。
さて、葬送のフリーレンはいわゆる剣と魔法のファンタジー世界の冒険モノです。これ自体は特に珍しくもない。「フリーレン」の珍しいところは、大抵のRPGでゴールとなる「魔王討伐」が終わったところからストーリーが始まるところです。主人公フリーレンも魔王討伐した勇者一行の一員で、その冒険の端々が回想として何度も挿入されます。読者はその回想をもって魔王討伐の冒険がどういうものだったのかを知っていきます。
もうひとつの特徴は、フリーレンが長寿のエルフ族だということ。平気で1000年以上生きるので、彼女にとっては10年に及んだ魔王討伐の旅もほんの一瞬のできごとです。フリーレンがほんの少し時間を過ごしたと思ったら、その間に他のキャラは年老いていたり寿命を迎えていたりするわけで、そんな時間のギャップが生むストーリーも面白い。
アニメを先に観ていたので、どうしてもその対比を意識してしまうわけですが、漫画はだいぶ「静か」です。オノマトペがほとんど書かれてなかったり、キャラ同士のやりとりも淡々とした印象がありますが、とくに戦闘がそうです。冒険モノらしく戦闘の回数は多いのですが、戦闘シーンそのものはだいぶ省かれています。下手すると1コマで決着がついていたり。一方、アニメでは漫画で省かれていた戦闘描写をじっくりと描いているので、「原作勢も知らない戦闘シーン」をたくさん観ることができます。なので私のようにアニメから入った人が漫画を見ると、ちょっと物足りないと思うかも。その代わり、「あのシーンがアニメになったときどう化けるのか」が今から楽しみでもあります。
あと「フリーレン」の世界観はだいぶRPGをベースにしているようで、フリーレンの手持ち鞄を除きパーティのメンバーは誰も荷物を携帯していないし、お金は村人からの依頼をこなして稼ぐし、ダンジョンはすぐゴールを目指さず隅から隅まで探検します。そして宝箱は当然ミミック。そんなRPGあるあるも、変に堅苦しくなりすぎない空気感に寄与しているように思えます。
RPGといえば、冒険のパーティも「戦士」「僧侶」「魔法使い」のように役割がはっきりしていて、その必要性もたびたび説明・描写されます。魔法使いであるフリーレンは1000年以上生きている熟練の魔法使いで、その戦闘力も高く、普通の戦闘ではまず負けることのない安心感があります。でもそれはあくまで相性がいい相手の場合で、相性が悪い相手との戦闘ではすぐに窮地に追い込まれることも。そこで前衛となる戦士や、回復や解毒をおこなう僧侶が必要になるのですが、それもRPGのパーティ構成そのものでわかりやすさがあります。
登場キャラクターに魔法使いが多いので、つい魔法使いが一番強いのではと思ってしまうのですが、戦士もだいぶ人間を辞めています。というか登場キャラクターたちは全員タフです。ちょっとやそっとの傷では行動不能になりません。恐ろしい世界だ。
漫画は2025年3月現在で14巻まで出ており、2026年からはアニメ第二期の放送が予定されています。
フリーレンたちは、死者の魂が集うといわれる場所”オレオール”に辿り着き、かつて共に魔王を討伐した仲間・勇者ヒンメルに再び会うことはできるのか? 彼女たちの冒険に注目です。